人事とテクノロジーとワインと

HR Technology and Wine

ホーム >  欧米の大手企業が導入する新しい評価制度ノーレイティングとは?

欧米の大手企業が導入する新しい評価制度ノーレイティングとは?

年度初めに目標を立案し、その目標の難易度や達成度に応じて人事評価をする。多くの日本の企業が実施してきた従来の方法が機能しなくなってきています。

そんななか欧米の企業を中心に導入が進んでいる「ノーレイティング」。今回は「ノーレイティング」についてご紹介します。


ノーレイティングとは


ノーレイティングとは、これまで行っていたスタックランキング制度(成績をA、Bなど全体からの相対評価でランキングをだす制度)は行わず、継続的かつリアルタイムにフィードバックを行う仕組みのなかで、上司が部下のパフォーマンスをマネジメントする人事評価の仕組みのことをいいます。


背景


近年、従来型の人事評価制度(年度初めに目標をたて、その実績に応じて、年度末にS,A、B、C、Dなどのランク付けを行って評価を行う)には大きく以下3つの課題がでてきました。


1. ビジネススピードが速くなり、目標達成サイクルとの乖離が発生してきた


2. スタックランキング制度は個人間の競争は生み出すが、チームワークや周囲とのコラボレーションは生まれにくい


3. 年度末に膨大な評価のための時間(手続きやドキュメントなどの準備)が必要とされる一方、評価をつけることが目的となり、形骸化してきている


従来、人事評価は賞与の決定や優秀な社員の昇格などを行うために活用されてきましたが、従来型の制度では時代の流れとともに、人材不足が進む中で優れた社員のエンゲージメントを高め、会社全体のパフォーマンスを上げるという本来の目的に対して機能しづらくなってきています。


こうしたなか、「ノーレイティング」という考え方が2012年ごろから欧米を中心に広がりをみせています。


ノーレイティングでは、月に1度などの頻度で定期的に主にマネージャーとメンバーとの間で1on1ミーティングを行います。メンバーのそれぞれの活動に対して、評価ではなく行動改善や成長につながるフィードバックをリアルタイムに行っていくことにより、業績向上に導いていきます。こちらの記事にも記載していますが、適切なタイミングでフィードバックを行うことは、効果を発揮するうえで非常に大切です。そして、必要に応じて目標も変化させていくことで、変化の激しいビジネス環境への対応も可能となります。


従来型の人事評価が、評価の目的を人材の査定に置いているのに対して、ノーレイティングでは人材育成を目的にしている点も特徴としてあげられます。


具体的なツール


ノーレイティングを実施するためには、継続的かつリアルタイムにフィードバックを行う必要があるため、それらを管理するツールが欧米では活用されています。


Engagedly

https://engagedly.com

セントルイスに本社を構えるアメリカの会社です。

彼らの提供するプラットフォーム Engadedlyは、目標設定、マネージャーフィードバックの管理、ナレッジシェアなど、ノーレイティングを実施するための機能が含まれています。

2016年にはアメリカのHRTECHに関するメディア「HRTECH OUTLOOK」にて、Top10 HR Cloud に選ばれ、現在では中小から大手まで様々な規模の企業に利用されている注目の製品です。



まとめ


相対評価を可視化したスタックランキング制度は個人の競争を促すことを中心にマネジメントをしていたころは有効でしたが、チームワークを生みづらく、オープンイノベーションの考え方に代表されるような共創の時代には向いていないかもしれません。


ノーレイティングを実施する際に重要となってくるのがマネージャーのマネジメントスキルです。メンバーとのコミュニケーション機会が増えるため、マネージャーにとっては工数が単純に減るわけではありません。効果的な1on1を実施できるかどうかにより、メンバーの成長度合いや評価に対する納得度も大きく変化するため、より高度なスキルが求められます。

今後の企業戦略において、マネージャーであるミドル層のスキルや資質はより一層重要になってくるのではないでしょうか。